消化器科
口から入った食べ物は、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、結腸、直腸を通って、余ったものが肛門から便として出ます。
口から肛門までの1本の管を「消化管」と言います。
そして、これら消化管に付属している器官である唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓などを含めて「消化器」と言います。
消化器にトラブルが生じると食欲が落ちたり、吐き、下痢、便秘などの症状がみられます。
消化器科では、このような症状の診断や治療を行います。
また誤食(異物、チョコレートなど)に対しての吐かせる処置、内視鏡による摘出、開腹による除去も行ったり、
胆嚢粘液嚢腫など胆嚢切除、排便困難な会陰ヘルニアなどの手術も実施しております。
こんな症状が出たら動物病院へ
・1日全くごはんを食べない。
・何度も吐いている。
・水を飲んでも吐く。
・うんちの回数が多い。
・下痢をしている。
・排便時に力んで便が出ずらい。
・便の色が黒っぽい、緑っぽい。
・便に粘液や血が混じっている。
・食べているの体重が落ちてる。
・1日に水を体重(kg)×100ml以上飲む。
例)5kgの子が500mlペットボトルを1日に1本以上飲む。
・目や歯茎の色が黄色い
・食べてはいけないものを食べてしまった。
など
消化器症状がある時に行う検査
糞便検査
便は消化器の状態を反映します。
問診や肉眼で便の形状や色調などを確認します。
便の形状・色調・混入物などから原因を推測します。
特に黒い便は命にかかわることもあります。
採取した便は顕微鏡で
・炎症細胞
・有核細胞
・出血(潜血)
・細菌叢
・寄生虫/寄生虫の卵
・脂肪滴
などの有無を確認します。
※感染症の場合、1回の検査では検出できないことがあります。
その他に、ウイルスの感染が疑われた場合、ウイルス検査(パルボウイルス感染症、ジステンパーウイルス感染症など)も実施することがあります。
血液検査
蛋白、アルブミン、血糖値、脂質などの栄養状態、肝臓、胆道系、膵臓、腎臓などの状態を確認します。
また貧血や脱水、感染症、炎症、血を止める因子、ミネラル成分なども合わせて確認して、状態の重症度を把握します。
肝臓、胆嚢、胃、脾臓、腎臓、膀胱、腸管の位置、大きさなどの確認をします。
その他に、異常ガス、異物、腫瘤、石灰化、腹水などの有無も確認します。
超音波検査と併用しても判断が難しい場合には、腸管の閉塞がないかどうかを確認するため、造影検査も行うことがあります。
肝臓、胃、脾臓、腎臓、副腎、膀胱、胆嚢、胆道、門脈、十二指腸、膵臓などの臓器の状態や腸管の動きなどを確認します。男の子では前立腺、避妊手術をしていない女の子では卵巣や子宮も合わせて確認します。
内視鏡を使って、直接、口、食道、胃、十二指腸、結腸、直腸など状態を観察して、病変や異物があるかを確認します。
通常光の他、NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)を行い、
粘膜に異常が疑われた場合、組織を採取して、悪性のがんか、良性かを調べるために、病理組織検査も行います。
異物などがあれば、内視鏡専用の鉗子(かんし)を使って取り除くこともできます。
鉗子で取り除けないような異物に関しては、その場で腹腔鏡または開腹にて取り除くこともあります。
※CT検査や特殊検査が必要な場合は、大学病院や消化器専門医をご紹介致します。
試験開腹・腹腔鏡検査
上記の検査では診断が難しい場合、試験的にお腹を開いて確認する検査(試験開腹)を行うことがあります。
試験開腹は、直接、肉眼で臓器を確認し、病変臓器の摘出や組織を採取することができます。
その反面、お腹を大きく開くため動物にとっては負担のかかる検査でもあります。
腹腔鏡検査は、3から5mmの穴からカメラを入れ、テレビモニターに映し出しお腹の中を確認する検査です。
試験開腹と比較すると体への負担は少なく、肝臓、膵臓、腸管などの組織生検も合わせて行うことができます。
腹腔鏡検査でも内視鏡検査同様に、通常光の他、NBIが行えます。